あの雲、船みたい。
子供の頃、雲をみてなにかの形を連想したことがある人は多いのではないでしょうか。
白いもふもふから浮かび上がるイメージはすごく自由で、そして無限に広がっていきます。
あるときは動物に、あるときは食べ物に、またあるときはまったく架空の生き物に見えたりします。
友達と一緒に見ていても、そこに浮かび上がる形はまったく違うことがあり、
それを語り合うのが楽しい遊びでした。
わたしだけの形
この体験は、形が必ずしも客観的に定まったものではなく、
むしろ私たちの主観と深く結びついていることを示しています。
雲が決まった輪郭を持たない形だからこそ、
自分が今まで見てきたもの触れてきたものによって、
雲を特定のなにかに紐づけているのです。
人によって何に見えるかが様々であることは、
私たちが「形」を単なる物理的な輪郭として捉えているのではなく、
物語や感情を内包するものとして認識しているからではないでしょうか。
形というものは「目に見える輪郭」だけに還元できないのです。
形はいつも「人の心と結びついた現象」であり、見る人の想像力や記憶を反映します。
だから形は自由で、掴みきれず、曖昧で、雲のように移ろいやすいのです。
そして、その曖昧さこそが、形の本当の豊かさなのかもしれません。
形とは、ただ外に「ある」ものではなく、私たちの目や心の中で「生まれ続ける」ものなのです。