形は痕跡を語る
形は時の流れを示すものでもあります。
川に転がる石は、風化や摩耗によって角が削られ、丸みを帯びていきます。
家の柱や庭の木も、年月とともに質感や輪郭を変えていきます。
形は、時が通り過ぎていった痕跡を静かに伝えているのです。
地球も形
この視点をさらに大きく広げると、地球そのものが「時の流れを示す形」だと言えるでしょう。
46億年前に生まれた地球は、今もなお形を変え続けています。
大陸はゆっくりと移動を続け、日本列島もその果てに生まれたものです。
私たちが暮らす日本の形には、何億年もの時間が刻まれています。
海底が隆起し、陸が削られ、また重なり合いながら現在の姿に至った。
ひとつひとつの地層や岩のシワは、長大な物語のページのように、形ができあがるまでの変遷を語りかけてきます。
プロセスとしての形
私たちは形を「完成した姿」としてとらえがちです。
しかし、実際には形とは、つねに変化し続けるプロセスにほかなりません。
丸くなった石も、大陸も、私たちの身の回りのモノも――
静止しているように見えて、その奥には流れがあり、時間が折り重なっています。
形は時を超えて声を伝える。
そう考えると、一見「止まっている」かのように見える世界のあらゆる形が、
過去と未来をつなぐメッセージのように思えてくるのです。