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形と信仰

形と信仰

石の形は、誰かが意図して作ったものではありません。地球上の様々な力が長い時間をかけて作り出したものです。


人間は自然が作った石の形に、物語や意味を見出します。

枯山水は単なる石や砂の配置ではなく、「」を最大限に利用して特定の意味や精神性を表現する日本の庭園芸術です。
石や苔のみで水を、島や壮大な山々を感じさせなければなりません。

庭師は、石の声を聞いて配置や傾き加減を決めるそうです。
その過程はまさに「形」を全身全霊で感じる必要があり、「形」と向き合った究極の芸術だと言えるでしょう。

枯山水は物理的な「形」を通して、見えない自然の概念や、人の心に働きかけるメッセージを伝えていると同時に、日本人がなんの変哲もない「形」と向き合い、意味を持たせてきた、「形」に対しての一種の信仰心みたいなものも感じられます。