ただそこにいる形
形はいつでも、どこにでも、そこにあります。
誰に観測されなくても、ただそこに存在することができるといえます。
形の知覚
一方、わたしたちには、形を形であると知覚する能力があります。
これはすごいことで、知覚することで初めて、立ち現れる形が存在するのです。
鼻をかんでまるめたティッシュのゴミも、からまったイヤホンのケーブルの輪郭も、
人が知覚したときに、そこに何かを感じたときに、不意に新しい形が生まれるのです。
「木」と「木」と「木」が適度な距離感で集まっているときに、
わたしたちは「森」という新たなまとまりの形を感じることができるのです。
あなたに見えた形は、わたしには見えないかもしれないし、
わたしが形に感じたものは、あなたは気にもとめないかもしれない。
形はただそこにいるだけ。
何者でもない形をみつけて形にするのは、私たちなのです。