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人間をつくる形

人間をつくる形

人はさまざまな形からできている

これまで取り上げてきた形とは少し異なる視点かもしれませんが、人間もまた「形の集合体」として考えることができます。
鏡に映る自分の姿は一つの大きな形に見えますが、その内側をたどっていくと、果てしないほど多様な形が重なり合っているのです。

人間をつくる形

物質としてのレベルでは、私たちは原子の集まりにすぎません。原子は丸い構造を持つものもあれば、結合して分子という複雑な形を形づくります。
生命としてのレベルでは細胞。丸く膨らんだ細胞や細長く伸びた神経細胞など、形は役割に応じて驚くほど多様です。
さらに細かく見ればDNA。らせんを描くその構造は生命の設計図として働き、生命の根幹を形づくっています。

こうした小さな形が重なり合い、つながり合うことで、私たちは「人」というひとつの姿をとっているのです。

形の重層性

人は大きな一つの形でありながら、その内部には無数の小さな形が潜んでいます。
外からは見えないけれど、顕微鏡を通して覗くとそこには全く別世界のような形が広がっているのです。

身近で見えない形

私たちは「人間」という形を日々当たり前のように意識していますが、その基盤にある小さな形を実感することはほとんどありません。
けれども、その見えない形こそが私たちを支えている最も身近な存在なのです。
人間の形を考えることは、自分自身の多層的な在り方を見つめ直すことでもあるのではないでしょうか。